大麻解禁!? そもそも大麻って?ー大麻について分かりやすく解説

2023年12月06日・ヘルス ・by kota

最近、大麻をめぐってさまざまなニュースが流れてきますね。

例えば、大麻の所持・使用の罪で逮捕された芸能人のニュース。また、大麻グミを食べた人が体調不良を訴えたというニュース。今年2023年には、大学の部活内で大麻が横行していたことが発覚し大きなニュースにもなりました。

また、最近では大麻解禁という話題も聞こえてきます。実は、海外では大麻に関する認識が変わってきており、日本でも法改正に向けて動きがあるのです。

この記事では、大麻とはどんなものなのか、そして大麻への認識の変化について解説していきます。

大麻とは?

まず、大麻とは何かをみていきましょう。

大麻は大麻草というアサ科の植物です。この植物の葉を乾燥させたり樹脂を液体状にしたりしたものが麻薬として扱われています。一方、大麻の茎は繊維として使われるので、大麻草の全てが麻薬扱いというわけではありません。

では、大麻が麻薬として指定されている原因は何でしょうか。それは大麻に含まれるTHCテトラヒドロカンナビノール)が脳に悪影響を及ぼすからです。

大麻を乱用することによる影響としては、①知覚の変化、②学習能力の低下、③運動能力の低下が挙げられます。また、長期的に使用することによる影響には、①うつなどの精神障害、②知能の低下、③依存があるようです。

日本での現在の規制

このように身体に悪影響のある大麻に対して、日本では大麻取締法で厳しい規制をかけています。大まかには、
・都道府県知事から免許を受けた大麻取扱者を除き、栽培・輸出入・所持・譲渡すべて原則禁止
・大麻の栽培・輸出入で7年以下の懲役
・所持・譲渡譲受で5年以下の懲役
となっています(詳細な内容については 大麻取締法 - e-GOV を参照してください)。

大麻への認識が変わってきている?

実は近年、大麻の扱いについて世界的に変化が起きています。

それは、大麻が医療で利用できる可能性です。ここ数年で、大麻に含まれるCBDカンナビジオール)が痛みや不眠の改善、てんかんの治療に効果があると示されつつあるのです。

これを受けて、国際的にも認識が変わりはじめています。

大麻などの麻薬については、麻薬単一条約という条約で国際的に取り決められています。この中で、大麻は条約発行以来、Schedule Ⅳ「特に危険で、医療上の用途がない」にリストアップされていたのですが、2020年12月に除外されることになったのです。

これは、大麻を医療目的で使用することが国際的に認められた1つの事例だと捉えることができるでしょう。

ただし、Schedule Ⅰ「乱用のおそれがある」からは除外されていないため、嗜好用の使用は認められておらず、あくまで医療目的での使用が解禁された、という点には注意が必要です。

海外での現状は?

このように医療目的での使用が認められつつある大麻、世界各国ではどのような扱いになっているのでしょうか?

全面規制の国

繊維業以外での使用、つまり医療用・嗜好用ともに禁止されているのは、2023年11月現在、中国、スウェーデンなどです。しかし、後でも述べるように医療用大麻の解禁を含む法改正に向けた動きがある国も出てきています。

医療用のみ解禁の国

近年の医療用大麻解禁の流れを受けて、医療目的に限って大麻を解禁する国は増えてきています。主な国を挙げると、2018年にはイギリス、2019年には韓国、2022年にはタイ、フランスなどで医療用大麻が解禁されました。

一方、タイでは医療目的のみの解禁にも関わらず娯楽用の大麻使用が横行、中毒者が続出する事態となっており、社会問題化しているようです。

娯楽用にも解禁している国

カナダ、ウルグアイ、アメリカの一部の州では、娯楽用の大麻使用を認めています。また、ドイツも娯楽用大麻を認める閣議決定を行い、2024年を目標に法制化を進めています。ただし、所持・使用してもいい量の制限などがついています。

国際条約に違反しているともいえる娯楽用大麻の解禁ですが、これには理由があります。それは、合法化し政府が流通を管理することで闇取引を撲滅するためです。非合法にしていると、闇取引が横行してしまい、大麻の摂取量や品質へのコントロールが効かず、子どもや社会がより大麻の危険に晒されてしまうからです。

日本での大麻解禁は?

では、日本でも大麻が解禁される動きがあるのでしょうか?

実は現在、日本でも医療用大麻の解禁を含む法改正の動きが加速しています。今年2023年秋の臨時国会で大麻取締法改正案が提出され、12月6日に国会を通過しました。

改正される内容は大きく2つ
医療用大麻の解禁
使用罪の創設
です。

①はここまで書いてきた国際的な流れに乗る形で、そして②は医療用大麻の解禁によって娯楽目的の大麻使用が増加するのを防ぐため、ということです。

参考

厚生労働省「今、大麻が危ない!」2023年12月6日閲覧
朝日新聞DEGITAL「大麻「解禁」、なぜ広がる? 国連条約に反しても…認める理由は」2023年4月27日
日本経済新聞「大麻を「最も危険」分類から削除 医療用、国連委が承認」2020年12月3日
公益財団法人 麻薬・覚せい剤乱用防止センター「Ⅱ【国連麻薬委員会による大麻の<付表変更>について】」2023年10月23日閲覧
公益財団法人 麻薬・覚せい剤乱用防止センター「国際的な薬物の規制状況」2023年12月6日閲覧
BBC NEWS JAPAN「英国で医療大麻が合法化 専門医が処方可能に」2018年11月1日
国立国会図書館「【韓国】医療目的による大麻使用の合法化」2019年5月
REUTERS「カナダが大麻合法化、先進国として初 流通厳格に管理」2018年10月18日
TBS NEWS DIG「アジアで初 “大麻解禁”のタイ 医療目的に限定も中毒者が急増…日本人が働く大麻ショップも」2023年5月10日
REUTERS「ドイツ政府、娯楽目的の大麻利用認める法案を閣議決定」2023年8月17日
朝日新聞DEGITAL「医療用大麻の解禁、「使用罪」創設の改正案 臨時国会へ提出を検討」2023年9月8日
テレ朝NEWS「大麻「使用」も処罰の対象へ 大麻取締法改正で「乱用の歯止めに」」2023年10月17日
NHK「大麻“使用”禁止盛り込む 改正大麻取締法 参院で可決・成立」2023年12月6日

ライターのコメント

僕がこの記事を書こうと思ったのは「もし自分が大麻を勧められたら、正しく理由を説明して断れるか?」という疑問からでした。テレビなどでよく紹介される大麻の勧められ方には「大麻は他の薬物より安全だから」「タバコやビールと一緒」「海外では認められてるし」などがありますよね。記事内でも書いたように、大麻は麻薬として危険だと国際的にも認められていて、解禁されているのはあくまで医療目的のみです。娯楽用にも解禁した国もその根拠は「危険な大麻をコントロールするため」です。このように、1歩掘り下げてみることで、正しい理解が進むのだということを実感しました。