【1分でわかる】敵基地攻撃能力(反撃能力)

2022年06月17日・政治 ・by Newsdock編集部

敵基地攻撃能力とは、敵国の軍事拠点(例えばミサイル発射基地)を攻撃する装備能力のことで、反撃能力とも呼ばれます。敵に先んじて攻撃を行う先制攻撃は含まれていません。

日本政府は、敵からの攻撃を防御する手段が他にない場合、敵基地攻撃は憲法で認められている自衛の範囲に含まれるとの立場ですが、実際には装備の保有はアメリカ軍に委ねてきました。ミサイル防衛施設であるイージス・アショアの配備計画が2020年に停止され、防衛上の空白ができることが懸念されたことがきっかけとなり、日本の敵基地攻撃能力保有について活発に議論されるようになりました。自民党は、2022年参院選の公約に反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を盛り込んでいます。

軍事力強化を進める中国や北朝鮮に対する抑止力となるという見方から、日本が敵基地攻撃能力を保有することを支持する声は高まっており、世論調査(産経新聞社・FNSが2022年5月21日、22日に実施)では、64.7%の人が保有について「必要」だと回答しました。

一方、装備導入に時間と費用がかかる、周辺国の反発を買うためかえって緊張を高めるおそれがある、憲法で認められている専守防衛(武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するとの原則)の範囲から逸脱するといった観点から、保有に反対する声もあり、日本の敵基地攻撃能力保有についての議論は賛否が分かれています。

参考

NHK解説委員室「なぜ、いま、『敵基地攻撃能力』なのか」2020年7月8日
東京新聞「敵基地攻撃能力、保有否定する政府見解「変更してない」と防衛相」2022年3月2日
産経新聞「敵基地攻撃能力「必要」64% 防衛費6割が増額要求」2022年5月23日
東京新聞「他国領内の空爆も専守防衛? 岸田首相は正面から答えず 敵基地攻撃能力巡る本紙質問に書面で回答」2022年2月22日
NHK「“敵基地攻撃能力”を“反撃能力”に名称変更を 自民が提言案」 2022年4月21日
時事ドットコム「「敵基地攻撃」浸透に課題 具体像見えず、4割留保―時事世論調査」2022年2月21日
時事ドットコム「「専守防衛」自民に変更論 敵基地攻撃能力保有で」2022年4月11日
FNN プライムオンライン「自民・茂木氏 ミサイル「反撃能力」、防衛費増額を参院選公約に」2022年2月21日
コトバンク「イージス・アショアとは」2020年6月8日
NHK政治マガジン「自民 参院選公約 防衛力強化や「反撃能力」保有を」 2022年6月9日