2021年を振り返って思うこと~東京オリンピックとコロナ~

2021年12月26日・社会 ・#2021年重大トピック ・by Newsdock編集部

はじめに

2021年も終わりが近づいてきましたね。今年は何があったでしょうか? 

いろいろとあった年ですが、私が一番覚えているのは東京オリンピックです。というわけで今回は東京オリンピックと新型コロナウイルスの関係について、私個人の意見も述べながら振り返ってみたいと思います。

史上初めて延期されたオリンピック

「今年(2021年)東京オリンピックが開催された」と言うと普通の出来事のように聞こえますが、実は結構凄いことなんです。なぜなら本当は東京オリンピックは2020年に開催されるはずだったからです。つまりこのオリンピックは 延期開催 されたもので、これは 歴史上初めてのこと だったのです。

延期が決まるまで何があった?

それでは、なぜ延期されたのでしょうか? 端的に言えば「コロナが世界的に感染拡大したため」ですが、ここではIOC(国際オリンピック委員会)がどのように延期を決定したかに焦点を当てていきます。

話は2020年3月までさかのぼります。1月に中国湖北省武漢で予定されていたボクシングの予選がコロナの感染拡大により中止されるなどコロナの影響がさまざまな方面に出て、 東京オリンピックの延期開催や中止を求める声があがっていました が、IOCは3月17日の臨時理事会で予定通り2020年7月に開催すると表明していました。ところが、 通常通りの開催の方針が世界中から批判される と、その5日後の臨時理事会で延期を含めて4週間以内に結論を出すと約束します。そしてさらにその2日後に1年程度の延期を決定。最終的に30日に7月23日開催と決定しました。

IOCの意思がころっと変わったので、今見ても「大丈夫か?」と言いたくなってしまうような流れですね。

IOCが通常開催にこだわった理由

IOCはなぜ予定通りの通常開催にこだわったのでしょう? 有力な案とされていた10月への延期、1年程度の延期のどちらもIOCにとって都合が悪かったからです。

まず、10月開催では巨額の放映権料をIOCに支払っている アメリカの大手メディアNBCが不満を持ちます 。秋はアメリカンフットボールなど他のスポーツ大会でNBCの放送スケジュールが埋まっているからです。つまり、IOCにとってNBCとはオリンピックの放送権を買ってくれる「お客さん」なので機嫌を損ねたくないということですね。

次に1年程度の延期ですが、やはりサッカーのヨーロッパ選手権などの国際大会と日程が被る恐れがありました。結局それらの大会をずらすことになりました。

IOC、それでいいの?

私はこのようなIOCの動きを見て率直に 「他人に左右されすぎじゃない?」 と思いました。非常に大きな組織なのでその意思決定の影響力は大きいです。それなのに、通常開催の方針を急に変えたことに違和感を覚えました。ただ、この方針転換は世界の批判を受けての物で、IOCが組織外の声を聞けている事の表れだととらえれば良いことかもしれませんが。

有観客か、無観客か

延期が決まってからももう一山ありました。競技会場に 観客を入れるか入れないかが大会まで一か月を切っても決まっていなかった のです。2021年3月には海外からの観客の受け入れ断念が決まっていましたが、7月初めまで有観客を前提とした複数の案を一つに絞り込めていませんでした。

事態が急展開したのは7月7日でした。この日、東京に4度目の緊急事態宣言が出されることが決定し、無観客という案が急浮上したのです。そして8日夜東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、組織委員会による協議の結果、一都三県で無観客となることが決定されました。

先ほどのIOCの延期決定と同じく、 短期間で意思決定が翻った パターンですね。

東京五輪のせいでコロナが広がった?

オリンピック閉幕後の8月28日に行われた毎日新聞の世論調査によると、 70%以上の人がオリンピックがコロナ感染拡大に影響したと考えていた そうです。本当にそうなのでしょうか? 

明確な答えは誰にもわかりませんが、オリンピック開催前後の新規感染者数の動向を見ることで浅はかながら推測を行うことはできます。以下では「東京オリンピックが原因でコロナの感染が拡大した」という主張を支える意見と、逆に否定する意見を考えてみましょう。

主張を支える意見

オリンピック開幕日である7月23日の新規感染者数は4349人、閉幕18日後の8月26日には25,040人を記録しました。そのことから私は

「オリンピック開幕から閉幕後2週間程度たつまで日別の新規感染者数の急激な増加傾向が続いている」

ということが主張を支えると考えました。

オリンピック閉幕直後に医師に行われたアンケートでは

「人流の変化はさほどでもないが、開催にてオリンピックをやれるくらいなら大丈夫という気の緩みが出たと思う」

「祝日を移動し、連休を増やした結果、人流が増加し感染拡大を招いた」

といった意見が出されていました。

主張を否定する意見

私は

「オリンピック開幕前から新規感染者数の増加傾向は続いているし、開幕前後の増加は夏休みの開始などオリンピック以外の原因があるかもしれない」

と考えました。

先ほどと同じアンケートでは

「日本だけがこの時期に感染者数が増えているのではなく、全世界で罹患者数が増加しています。デルタ株の猛威が主な原因でしょう。オリンピックは関係がないと思われます。」

「オリンピックと感染拡大の関連はあまりないように思う。現在の感染者は20代~30代が多く若者の活動様式及びワクチンの接種状況(高齢者中心)が原因と考える。」

といった意見が挙がっていました。

おわりに

今回は東京オリンピックがコロナによりどう揺れ動いたのか見てきました。今年は東京オリンピック以外もコロナに振り回されっぱなしの1年だったなあと感じます。来年はそうならないといいですね。
記事では私や専門家の意見を紹介しましたが、 皆さんの意見もぜひ聞かせてください!

参考

NHKニュース「“コロナショック”史上初の一年延期決定までの経緯」2020年4月20日
東洋経済オンライン「東京五輪『1年延期』決断までの知られざる裏側」2020年5月5日
AFPBB News「【図解】2021年に予定される主要国際スポーツ大会」2021年1月1日
NHK News「東京オリンピック・パラリンピック 招致からこれまで【経緯】」2020年4月20日
毎日新聞「『五輪開催がコロナ感染拡大に影響』7割超 毎日新聞世論調査」2021年8月28日
厚生労働省「国内の発生状況など」2021年12月20日閲覧
m3.com「医師の約7割、五輪と感染拡大『関連ある』」2021年8月17日