参院選終了!野党の今後はどうなる?

2022年07月21日・政治 ・#参院選2022 ・by Newsdock編集部

先週7/10に幕を下ろした2022年参議院選挙。今回は「参議院選挙のそもそも」シリーズの第11弾として、選挙結果と野党の動きについて詳しく見ていきます。今回の参院選も与党の圧勝という結果に終わりましたが、野党はどうなったのでしょうか? 野党第一党である立憲民主党と、近年勢力を拡大している日本維新の会に焦点を当て、獲得議席の増減やその背景、そして今後の動きを解説します。

立憲・維新の議席はどうなった?

今回の参院選では、立憲民主党は議席数を改選前の23から17に減らしました。一方、日本維新の会は比例枠では立憲民主党を上回り、議席数も6から12に倍増させました。実は、2021年衆院選でも、立憲民主党の議席が109から96に減少した一方で、日本維新の会が議席を11から41に大幅に増やしています。衆議院・参議院ともに立憲民主党がまだ野党第一党を維持していますが、勢いは維新にあると言えるでしょう。

立憲の後退・維新の躍進はなぜ?

国政選挙で、立憲の後退・維新の躍進という傾向が2回連続でみられるのは興味深いですよね。その背景には何があるのか、考察してみました。

「野党は批判ばかり」

今までは、特に生活に困っている人の間で「苦しい現状を打破するために野党に投票しよう」という雰囲気がありました。しかし最近は「野党は批判ばかり」という意見が目立ちます。その真偽はともかく、国会閉会中に野党議員が官僚を問い詰める様子や国会での討論をいつも怒ったように行う姿勢に注目が集まることが多く、旧民主党系の政党や共産党などへの失望感に繋がっていると考えられます。

維新の「第三勢力」スタンス

その一方、日本維新の会は「是々非々」すなわち与党の法案でも野党の法案でも良いと思ったら賛成、ダメだと思ったら反対するという、いわば第三勢力的な振る舞いをしてきました。例えば、今年3月に成立した令和4年度予算の採決では反対にまわる一方で、6月に立憲民主党が出した内閣不信任決議案には賛同しませんでした。

国民の反応は

京都府立大学の秦正樹准教授によって昨年の衆院選の際に行われた調査によれば、野党の姿勢について、与党への対抗姿勢より是々非々の姿勢の方が望まれている、ということです。2回の国政選挙で、維新が躍進し、立憲民主党が後退した背景にはこの2つの党のスタンスの違いがあるようです。 つまり、「何かを変えたいが立憲・共産には期待できない」と思っていた人の受け皿として維新の会が作用した、と考えられるのです。

今後の注目点は?

野党について、これから注目される点は立憲民主党と日本維新の会の野党第一党をめぐる争いです。現状では立憲民主党が議席数で維新の会を上回っており、多くの地域に地盤があります。一方、維新の会はまだ議席数では負けており、地盤も近畿地方に限られているという状況です。しかし、2回の国政選挙での維新の会の躍進や国民の野党への見方の変化を踏まえると、維新の会が野党第一党となる可能性もありそうです。 また、維新の会の松井代表が政界を引退することを表明し、8月末に代表選が行われることになりました。維新の会は、大阪市長を務める松井代表と大阪府知事を務める吉村副代表に引っ張られてきた側面もあるため、維新の会がどう変わるのかも注目です。

参考

NHK 「参議院選挙速報2022 開票速報・選挙結果 -参院選」2022年7月15日閲覧
NHK 「衆議院選挙速報2021 開票速報・選挙結果 -衆院選」2022年7月18日閲覧
産経新聞「官僚呼びつけ「まるで魔女狩り」の野党合同ヒアリング 批判集中でついに見直しへ」2018年5月23日
PRESIDENT Online 「「ワーワーわめくだけで議員給与2200万円」自民がコロナ失政でも野党の支持率が上がらない根本理由」2021年6月2日
東京新聞「改憲掲げる「第三極」維新の野心 「参院選で議席倍増」「次期衆院選で野党第1党」 躍進なら保守勢力が拡大」2022年4月21日
NHK 「新年度予算が成立 与党・国民など賛成 一般会計総額 107兆円余」2022年3月22日
NHK 「内閣不信任案は否決 野党足並みに乱れ 各党の反応は」2022年6月9日
NHK 「クローズアップ現代 特別寄稿 政治学者が読み解く 『野党の現在地』」2022年7月12日
NHK 「維新 松井代表の後任選ぶ代表選 来月下旬実施で調整へ」2022年7月14日

ライターのコメント

今回の第11弾をもって「参議院選挙のそもそも」シリーズは終了となります。このシリーズでは、参院選の仕組みや注目されているテーマ、そして結果についての記事を連載してきました。ですが、大事なのは「選挙はこれからの政治を決めるものである」ということ、つまり「投票した人も投票しないことを選んだ人も今後の政治に対する責任を負っている」ということです。では、その責任をどう果たすのか。それは政治の動きに関心を持ち、間違った政策には抗議の意思を示すことだと僕は思います。物価高・電力不足などの身近な問題や憲法改正・防衛費増額などの国の方向性を左右する課題、さらには少子高齢化や市場競争力の低下に至るまで、現在の日本にはさまざまな問題が山積しています。それらに政府や国会がどう対処するのかをよく注視し判断することが、有権者に課せられた責務だと思います。