防災の日とは?由来や意義を詳しく解説・今すぐスマホでできる備えも紹介

2022年08月29日・社会 ・by Newsdock編集部

まもなく8月も終わり、これから二学期が始まるという方も多いのではないでしょうか。実は、二学期の始業式が行われる9月1日には多くの学校で避難訓練が行われます。「始業式、夏休みの宿題の提出、と結構忙しいのになんでわざわざこの日に避難訓練なんだ?」と思う方もいるかと思いますが、これは「9月1日が防災の日」だからです。では、防災の日とはどういう日なのでしょうか? また、この機会に今すぐスマホでできる災害への備えも紹介したいと思います。

防災の日とは?

1960年に、毎年9月1日を防災の日とすることが閣議了解されました。その目的は「政府、地方公共団体等関係諸機関をはじめ、広く国民が台風高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備するため」とされています。また、1982年には9月1日を含む1週間を防災週間として、防災意識の向上を図る活動を全国的に行うことが決まりました。これが、防災の日に避難訓練を行う理由です。

では、なぜ防災の日が制定され、それが9月1日なのでしょうか。これには大きく3つの要因があります。

関東大震災の発生日

今から99年前の1923年9月1日午前11時58分に、神奈川県西部から房総半島南東沖を震源とするマグニチュード7.9の地震が起きました。これが関東大震災と呼ばれる、首都圏を壊滅させた大地震です。地震で多くの建物が倒壊しただけでなく、火災が広がったことにより10万人以上の方が亡くなりました。

伊勢湾台風

台風15号は1959年9月26日午後6時過ぎに和歌山県潮岬に上陸し、特に名古屋市などの伊勢湾周辺地域で高潮による大きな被害を引き起こしました。この台風で、明治以降最多となる5千人以上の方が亡くなったことから、「伊勢湾台風」と命名され、防災意識の向上が求められる契機となりました。防災の日が伊勢湾台風の翌年の1960年に制定され、その翌年の1961年には災害対策基本法も制定されました。

二百十日

二百十日は節分や八十八夜などと同じ「雑節」と呼ばれる日本独自の暦日の一つで、農作業と照らし合わせた季節の目安です。二百十日は立春から210日後の9月1日にあたり、農作物に甚大な影響を与える台風に見舞われることも多い日であることを意味しています。これは防災の日制定の直接的な理由ではないですが、古くから台風による被害が多く、対策が必要な時期だと考えられていたことがわかります。

また、防災に関する記念日には9月1日の防災の日だけでなく、11月5日の津波防災の日や1月17日の防災とボランティアの日もあります。それぞれ、安政南海地震、阪神淡路大震災の発生日がもとになっています。

今すぐできる備えを紹介

「せっかく防災の日だし、何か準備をしようかな。でも、そんなに時間もお金もないし…」と思っている方も多いのではないでしょうか。実際、「災害への備え」と検索すると、非常食や防災グッズの紹介が多く、「やっぱり今はいいや」と思ってしまいますよね。もちろんこれらの備えは不可欠なのですが、ここでは今すぐできる備えを紹介したいと思います。

①スマホの緊急速報の設定をオンにする

ほとんど全てのスマートフォンには緊急速報を通知する機能がついています。初期状態ではオンになっているはずですが、一度確認しておきましょう。やり方については、iPhoneはこちらAndroidはこちらをご覧ください。

②LINE安否確認を知る

LINEアプリは、東日本大震災のときに連絡を取りあうことができなくなったのをきっかけに作られたアプリであり、緊急時に便利な機能が豊富にあります。その一つが、大規模災害時に友だちと安否確認できる機能です。これには特に設定などは必要ないですが、離れた家族・友人に自分の状況を伝えられるので、知らなかったという人は確認しておくとよいでしょう。

③「LINEスマート通知」を友だち登録する

さらに、LINEはYahoo!防災速報と連携して緊急速報を伝える「LINEスマート通知」という公式アカウントを提供しています。「避難情報」「地震情報」「津波予報」「気象警報」など9つの防災速報に対応しており、メッセージから速報の詳細を確認することもできます。また、国内最大3地点まで登録できるので、勤務・通学先や離れた家族が住む地域の情報も受け取れます。

④防災アプリをインストールする

いざという時に最も重要なのは情報です。しかし、TwitterなどのSNSは情報が錯綜しやすく、緊急時ではフェイクが流れてくる恐れも高まります。そこで、正しい情報・自分が求める情報に接するためにも防災アプリを入れておくことをおすすめします。

防災アプリにもいくつか種類があり、現在地から最も近い避難所を教えてくれるアプリや、多様な気象データを提供している天気予報アプリなどさまざまです。使いやすいものを見つけておくと良いかもしれません。

⑤スマホの充電を忘れずに

以上の備えは全てスマホを使うものですが、いざという時にスマホの充電がなくては意味がありません。いつもバッテリー残量1%だという人は特に、充電できる時にしっかり充電する習慣をつけましょう。また、モバイルバッテリーを持ち歩くのも有効です。

最後に

近年、常軌を逸した災害が相次いで発生しており、いつ自分の身に起きるかは分かりません。その一方で、防災のことは後回しにしがちなものです。防災の日のような機会に過去の災害についての理解を深め、「大雨になったらどうする?」「津波からどう避難する?」とイメージしておくことが重要です。また、災害への備えをできる範囲から進めていくことも大切です。自分の命を守るためにも、防災のことを考える機会を持てるようにしたいですね。

参考

東京消防庁「消防雑学事典 防災の日と二百十日」2022年8月19日閲覧
国立国会図書館 リサーチ・ナビ「「防災の日」の創設について」2022年8月25日閲覧
内閣府 防災情報のページ「「防災の日」及び「防災週間」について」2022年8月25日閲覧
防災科学技術研究所 自然災害情報室「関東大震災の被害状況」2012年9月4日
内閣府 防災情報のページ「報告書(1959 伊勢湾台風)」2022年8月25日閲覧
暮らし歳時記「二百十日と二百二十日」2022年8月25日閲覧
暮らし歳時記「雑節」2022年8月25日閲覧
内閣府 防災情報のページ「特集 津波防災の日」2022年8月25日閲覧
内閣府 防災情報のページ「「防災とボランティアの日」及び「防災とボランティア週間」について」2022年8月25日閲覧
Apple「iPhone で日本の緊急速報を設定する」2022年8月25日閲覧
Androidヘルプ「Android スマートフォンを使用して緊急時に支援を求める」2022年8月25日閲覧
LINEみんなの使い方ガイド「緊急時に役立つLINEの使い方」2022年2月28日
TIME&SPACE by KDDI「『防災アプリ』のおすすめ5選|非常時の備えや避難情報、安否確認など」2022年5月16日